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施術療養費支給申請書点検業務外部委託の現状と問題点
―その2 外部委託業者の権限等について―

2010/08/01
【回答書】平成21年2月18日付、関東信越厚生局健康福祉部保険課社会保険業務専門官(Y氏)

【健康保険組合と委託業者について】

1の回答:保険者又は保険者の職員に限り認められていると解せられる法令上の権利・能力については、外部委託によっては行使できないことになっていますが、それ以外の業務等は、特段、禁止規定も見当たらず、個人情報保護法等に基づく適切な措置を講じつつ委託契約をすることは可能であると解せられます。

〔外部委託ができない権利・能力の例〕
1.
健康保険法(抄)第197条 保険者(社会保険庁長官が行う第5条第2項及び第123条第2項に規定する業務に関しては、社会保険庁長官。次項において同じ。)は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者を使用する事業主に、第48条に規定する事項以外の事項に関し報告させ、又は文書を提示させ、その他この法律の施行に必要な事務を行わせることができる。
2.
保険者は、厚生労働省で定めるところにより、被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む。)又は保険給付を受けるべき者に、保険者又は事業主に対して、この法律の施行に必要な申出若しくは届出をさせ、又は文書を提出させることができる。

2の回答:健康保険組合の設立認可については、厚生労働大臣の認可事項となります。「健康保険設立認可基準」については、昭和60年4月30日付保発第44号(改正 昭和63年5月16日付保発第56号)をもって厚生省保険局長より通知が出されており、当該通知に基づき認可がされているものと考えます。

3の回答:黒塗り。

4の回答:他の事業者等への情報提供であるが、業務を委託するなど「第三者」に該当しない場合であっても、必要とされる情報の範囲に限って提供すべきであると考えております。F健康保険組合に確認したところ、当該健康保険組合の場合は、前記3の療養費支給申請書の内容点検及び疑義対象者の抽出のほか、当該健康保険組合にて決定した疑義対象者に対する照会文書の作成・発送・回収、同じく柔道整復師に対する返戻文書の作成・申請書添付・発送、療養費支給申請書のデータ作成(資格審査用データの作成、支払処理用データ(口座情報含む)の作成、その後の検索を行うための療養費支給申請書のイメージ化(画像データの作成))について業務委託契約を締結しており、申請書の内容全体が当該委託契約の履行のために必要な情報となります。

 

【療養費の支払について】

1の回答:前記1の4のとおり、療養費の支払いのための前段作業として、支給決定した療養費についてどの口座にいくら振り込むかのデータ化を業務委託しており、振込先の口座番号を情報提供することは、当該委託契約履行のために必要な情報と判断されます。

2の回答:F健康保険組合の場合は、前記のとおり必要の範囲内の情報提供と思われます。

3の回答:業務委託の範囲や必要性については、法令等に反しない限り、健康保険組合の実情等に基づき、各々の健康保険組合で決定されるものであります。

※厚生局担当官の回答では、権利・能力の行使はできないが、外部への業務委託については禁止事項は見当たらない。個人情報保護法等に違反するのではないかとされた口座番号の情報提供についても必要な範囲内の情報提供と判断する。また外部委託への必要性については健康保険組合にその決定を委ねる、といった回答であった。

 

平成21年2月23日付、関東信越厚生局健康福祉部保険課の別の担当官(M氏)に要望書

この件は、平成20年10月分で請求されたレセプトについて保険管理センターから平成21年1月26日付で返戻になっており、疑義内容は前記の例と同様、負傷箇所と施術部位に相違がみられるというもので、以下の要望をした。

内容要旨:いまY氏と協議中の健康保険組合の外部委託業者について、新たにT健康保険組合の外部委託業者が本会会員に再請求する場合、患者様に記載していただいた問診表を提出しなければ療養費は支払わないと発言があった件に関し、係る事実は、外部委託業者が療養費支給申請書の審査・調査を行い、支払権限までも委託されている証明であり、健康保険法違反並びに刑法233条(信用毀損罪及び業務妨害(偽計)罪)にも当たる行為ではないか。貴局としてT健康保険組合が

どのような委託契約を行い
実態としてどのように療養費支給申請書の事務処理が行われているのか
今回、何故上記の回答がなされたのか

について立ち入り検査をして実態の解明を願う。又平成21年3月31日までに回答を願う。

 

【回答書】平成21年3月30日付、関東信越厚生局健康福祉部保険課社会保険業務専門官

M氏:質問の件についてT健康保険組合に確認したところ、柔道整復師の施術にかかる療養費支給申請書の審査業務等について外部業者へ業務委託していた。委託内容は、支払権限に関する事務は含まれておらず、外部業者へ支払いに関する権限を委ねていることはなかった。
委託業者の対応について確認したところ、療養費支給申請の再請求に対する教示を行ったもので、支給の可否にかかる発言の有無については確認できなかった。しかしながら、当該健康保険組合が外部業者に委託している柔道整復師への申請書返戻に関する問い合わせ対応における保険者又は保険者の職員に限り認められていると解せられる法令上の権利・能力を含むものについては、健康保険組合自ら行うよう指導した。